聖人君子にはなれそうにない

煩悩たっぷりなP1の日々感じたいろいろな事について書くブログ

悪性リンパ腫疑いをかけられ考えたこと

 

20世紀が終わりを告げようとしていた2000年10月頃、風呂上りに洗面所の鏡に映った自分の姿を見て、耳の下の首の付け根リンパ腺のあたりが左右ともに膨らんでいるのに気づいた。

「何だろう、この腫れ物、腫瘍?」

気になり始めたら居ても立っても居られなくなった。転勤で越してきたばかりだったので土地勘も無く、どこに病院があるのか分からなかった。そして何科の医者にかかれば良いのかも見当もつかなかった。とりあえず社宅の近くにあった内科の医者にかかってみることにした。

 

診察室に入ると、医者は首の膨らんでいるあたりを触って、

「リンパ腺が腫れているなぁ。最近熱が出たとか、怪我して化膿したとか、歯を治療したとか、どこか炎症を起こしたとかない?」

と聞いてきた。

「思い当たることはないですけれど…」

と答えると

「足はある?」

と聞かれ、

「変なこと聞く先生だなあ、足があるかどうか見たらわかるやろうに!」

と思いつつ

「足?、立派な足はここに問題なくありますけれど」

と真面目に答えると看護師さんともども大笑いされた。

「足って、車があるかっていうことだよ!」

と医者に言われずいぶんと恥ずかしい思いをした。

「車があるなら、今から血液内科の専門の先生に紹介状を書くから今からすぐ行って診察を受けなさい」

と言われた。悪性リンパ腫の疑いがあり早急に診察を受けた方が良いという医者の判断だった。

動揺しているように見えたのか

「気をつけて行きなさい」

と声をかけられた。

地図で場所を教えられ、車で慣れない道を走り、紹介状を持って専門医の診察を受けた。

「首のリンパ節が腫れているなぁ、右2cm、左1.5cm。脇の下のリンパ節はまだ腫れていないから、今治療を始めれば大丈夫でしょう!。今から血液検査のための採血をして、1週間後結果を聞きに来てください。」

と医師に告げられ、頭の中は真っ白になった。

 

「もし悪性リンパ腫なら化学療法が始まるし、化学療法が効けばいいけれど、効かなかったら…。」

と生まれて初めて『死』というものを意識した。

 

検査の結果が出るまでの1週間はとても長く感じた。

 

その間に『死ぬ』ことになるとしたら何がしたいかをずっと考えていた。

そして自分で出した答えは意外な事に

「死ぬ前にどこかに行きたい。」

とか、

「思い出作りに特別な何かをしたい。」

というものではなく、

『普段通りの何気ない、いつもの生活を送る事』

というものだった。

 

それから人生の最後に食べたいものも考えた。

『いつもの白米と出しのきいた味噌汁。』

こちらも我ながらなんとも平凡で質素な『最後の晩餐』である。

 

青い鳥の話ではないけれど、私の望む幸せは身近にあるのだとその時わかった。

あれこれ考えているうちに1週間が経ち、検査結果を聞きに行った。

検査結果は『異状なし』

経過観察となり安心したせいか、それからいつの間にかリンパ節の腫れもなくなっていた。

 

「あれは一体なんだったんだろう?」

と今でも思う。

「慣れない土地、慣れない環境で疲れがたまっていたのかなぁ」

と自分なりに解釈している。

 

それにしても…

 

『なんともなくて本当によかった! 健康に感謝!』